研究費

若い研究者+少ない費用=国際的評価の論文


国際的に高い評価を受けた論文を書いた日本人研究者は、平均年齢が39・9歳で、その半数が約490万円以下の比較的少額な研究費で成果を上げていたことが、文部科学省科学技術政策研究所の調査でわかった。
政府は10年前から公募型の競争的研究資金の拡充を進め、数億円単位の大型研究も増えているが、研究費の額が必ずしも成果に直結していない皮肉な実態が浮かび上がった。
国内には約79万人の研究者がいるが、同研究所は、国際的な文献データベースを基に、ほかの研究者から引用される回数が、世界的に見て上位10%に入る「注目論文」を書いた日本人研究者858人を選び出し、2004年10月にアンケート調査した。
注目論文を生み出した研究費は1万円から103億円と幅広かった。そのリストの真ん中にいる研究者の受給額は490万円程度で、受給額で最も多いのは100万円だった。研究費の出所については、政府の競争的研究資金を使った研究者が61%に上った。
アンケートでは資金の配分方法についても尋ねたが、「評価基準が不明瞭(めいりょう)」「政治力だけの研究者を優遇している」といった厳しい見方をしているトップ研究者が多かった。競争的研究資金は、総額4600億円と10年前に比べ4倍近くに増えているが、その審査のあり方に再考を迫る調査結果となっている。
(2006年4月27日13時41分 読売新聞)