実験ノート

ここしばらくの間で「実験ノート」という言葉を一生分聞いた気がする。


実験ノートとは、実験を行った記録「等」を記載していく、研究の上ではかなり重要なツールである。実験を行った証明にもなるようであるが(実際はかならずしもそうとは思わないが)、最大のメリットは「しっかりとコツをつかんで」書くことによって、効率的に研究を進められることであろう。


これを機に、実験ノートに関する私見を連載していこうと思っている。


実験ノートは何のために書くのか?上記の通り、効率的に研究を進めるためであると考えている。「実験を行った証明になる」という論調も強いが、その件に関しては後日。それでは実験ノートを書くことによって、どう効率が良くなるのか?実験量が多ければ多いほど実験ノートに取られる時間も多くなるので、実験スピードはやや遅くなるかもしれない。しかし、私の経験からすると絶対に全体としての効率は良くなる。


まず、自分が何を考えてどのような実験を行い、またそのときはどのような結果だったのかを体系立てて書いてあると、結果を遡って何かを調べるときに非常に役に立つ。


さらに、ノートに書き込んだ「細かい」メモなども非常に役に立つ。生物学においてはかなり微妙な操作で実験のぶれが出てしまうことも少なくない。前回とは少し違う器具を使ったとか、ロットの違う試薬を使ったとか、そういうことでも後々効いてくることもある。初学者は、詳細なメモ等を「実験ノート」にしておくことによって、その手技等の再確認にも非常に役に立つ。


また、学生の上に立つ立場になってわかったのだが、学生とのディスカッションの時にしっかりしたノートを持ってきた学生と、適当なメモや結果しかない学生とではディスカッションのしやすさ、効率、さらにはトラブルシューティングなどにおいてかなり差があるということもわかった。「前回○○の実験したときはどうだったっけ?」と聞いて、その前回の結果を見つけるまでの時間の長い学生の多いこと多いこと…


と最後に愚痴になってしまったが、とにかく、研究全体を効率よくやるためには実験ノートは必須である。


ただ、このこれらは2段落目に書いた「コツ」というか、しっかりと書かないと全く無意味とまではいかないが、役に立たないものとなる可能性もある。次回はノートの書き方について。