ばんえい続報

存続へ向けて首の皮一枚つながった。ばんえい競馬北見開催最終日が行われた27日、岩見沢市役所では渡辺孝一市長が「撤退」を明言し、「帯広・岩見沢」の2場開催での存続の道は断たれた。だが、帯広市役所で会見した砂川敏文市長は「非常に厳しい状況だが、例えば、支援する企業が出てくるなど状況が変われば(単独開催での)存続に検討の余地がある」と含みを持たせた。これを受け北海道市営競馬組合では企業や関係団体などに最後の働きかけを行うことを決めた。
最後の北見開催。まだ正式な北見競馬場廃止が決定していないため、サヨナラ・イベントなどは一切行われなかったが、詰め掛けた通常の2倍となる1160人のファンは“ばんば”の勇壮な走りを目に焼き付けた。網走から来た茂原直之さん(45)は「ばんばがやってくるとお祭りのようで、子供の時から気持ちが高揚した。廃止なんて信じられない」と悲しげな表情を浮かべた。
北見競馬場ばんえい専用競馬場として1974年に開設し、32年の歴史に幕を下ろした。戦前から行われていた野付牛競馬場時代を含めると70年以上も行われていた北見地方の競馬が消滅したことになる。道内の競馬場廃止は1953年の道営小樽、室蘭競馬場以来、53年ぶりだった。
だが1949年から行われているばんえい競馬の存続には、わずかながら望みが残った。砂川・帯広市長の会見を受けて、市営競馬組合・斉藤守助役は、「最後の最後まであきらめずに、支援してくれる企業、国、地全協などに働きかけを行い、黒字化が実現できる条件を整えていきたい」と12月中旬に予定されている正副管理者会議(4市の市長による最高意思決定機関)まで全力を尽くすことを宣言した。
全面廃止となれば路頭に迷うことになる厩舎関係者も、27日は服部義幸調騎会会長をはじめ、メンバーが岩見沢市役所前で登庁した渡辺市長に直談判を行ったり、12月4日からは香港、ソウルへ観光客誘致のためにアジアセールス団を派遣することも決めている。
「開拓のシンボルであり、北海道遺産にも登録されているばんえい競馬を廃止してしまうのは、道民にとって最大の恥」という決意を胸に、関係者は一致団結してのサバイバルを誓った。
(スポーツ報知)

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