研究室の学生が獲得すべき能力

研究室で学生と共に長い時間を共有すると、様々な面において学生さんの成長させるべき点が見えてくる。


研究室配属の意味として、まずは専門的知識を得るということが挙げられるが、これは重要なのだがどうでもいい。よほどラボに来ないという学生以外は勝手に身についていくだろう。その他にも課題解決能力、プレゼン能力、適当な上下関係など色々あるのだが、まず身につけて欲しいのが「客観的かつ正確にものを話す」ということである。これはラボでは非常に重要な能力であり、実生活においても今後大いに役に立つのだが、多くの学生が身につけていない能力でもある。一方で身につけるのは心がけ一つなのでとても簡単である。


例えば実験が失敗すると、学生は失敗しました、と言いに来る。大概は単純ミスが多いのでどこでミスをしたか可能性を挙げるために、どのようにやったのか聞くのだが、大概返ってくる答えは抽象的な言葉である。なるべく正確な言葉で話せと言っても「多めに入れました」「少なめのバッファーで」「ピペットで軽く混ぜました」などなど、とても解決に至らないであろう情報が多数出てくる。


初心者はしょうがない。しかし、注意してもなかなか直らないのは問題だ。これを解決するにはどうしたらいいのか、考えているのだが名案がない。


また、教員がエスパーで無いこともわかってもらいたい。実例だが「DNAを抽出したのにできませんでした」(極めて簡単な操作)と言われたので、どうやったかを聞いたところ、マニュアル通りにやったとのこと。「じゃあ、どこかの手順でミスがあったんだよ、きっとバッファーでも間違えたんじゃない?」と言うと、「xxxを間違えたんですかね、それとも〇〇〇を間違えたんですかね?」と聞かれることが何度もあったのだが、見てないから知らんとしか言いようがない。とりあえず正確に一つ一つを確認してやり直せと言うしかない。
その他にも最終産物を持ってきて「どうも最初の沈殿を作るときに少し変だったのですが、それがおかしかったのですかね?」と聞いてくる学生もいる。何故そのときに見せないのか理解に苦しむ(きっと聞くのが面倒だっただけなのだろうが)が、その変と思われるものを見ないと判断はつかない。教員には経験があり、大体どのステップで間違えたりするのか想像が付くことも多いのだが、エスパーではないので、見ていない物を完全に解決できると思わないで欲しい。


ちなみに、間違えたんじゃない?と聞いた段階で「間違えてない!」と言い張る学生も結構いる(特に外国人)のだが、これはまた次のエントリで。